アストライアは泣いていたか? / 重音テト


  • 題名: アストライアは泣いていたか? ( Did Astraea Weep? )
  • 歌: 重音テト SV (V1)
  • 作詞・作曲: tomii
  • ジャンル: 地中海風吟遊詩人ジャズ (Mediterranean-style bard jazz)

動画

歌詞

ギリシャ神話に登場するアストライアの「最後に地上を去った神」という触れ込みがかっこよすぎたので作りました。 アストライアと大洪水の事を書いていますが、特にそんな伝承はないのでほぼ二次創作です。

アストライアは自身が乙女座になったとも、持っていた秤が天秤座になったともいわれています。

最後の方の歌詞の謎言語はラテン語で、元ネタにした文献の一部借用です。発音間違ってたらごめんなさい。 ダブルクォーテーションの箇所はアストライアのセリフです。心を込めて読んでみよう!

Japanese

Astraeaは泣いていたか?
信じたものに激怒したか?
流れる水の中、伸ばされる手に
瞳を投げかけたか?

"The flood will take you away,
All that stands shall turn to decay."
(洪水が皆を飲み込み
 全てのものが流されるだろう)

"All the stains shall be erased
from this iron world, debased."
(この堕落した鉄の世界から
 すべての汚れは取り除かれなければならない)

狭い世界の中 混ざる事も 厭わず
貰い物を歓び 祀ることも 忘れず
まだ このまま続いて
溢れる様な 豊穣の時を 絶やさないように

いつからの事だろうか
正義を説き始めたのは?
堕落する人々を見捨てるほどに
冷たくなれなかった

錆びついて 君の気が済めば
冬も、諍いも消えるのだろうか?
夏と秋と 海を渡り始め
全て沈む 直前まで 秤となって

"I'm still with you."
(私はまだ共にいる)

iamque nocens ferrum ferroque nocentius aurum
prodierat, prodit bellum, quod pugnat utroque,
sanguineaque manu crepitantia concutit arma.
(そして害なす鉄と罪深き金が現れ
 その両方を使った争いが起きた
 血塗られた手で武器を打ち鳴らし振るっていた)

秤さえも空へ昇る

"And the flood did take them away."
(そして彼らはいなくなった)

English

Free translation of lyrics. Note that I consulted LLM for some parts of translation of lyrics, since I wanted to use archaic diction in places.

Sentences with double quotations are dialogue of Astraea.

Did Astraea weep?
Did she rage at what she'd believed in?
Did she turn her eyes to desperate hands
reaching from the rushing water?

"The flood will take you away,
All that stands shall turn to decay."

"All the stains shall be erased
from this iron world, debased."

Dwelling in a world close at hand, they never hesitated to mingle together.
They never forgot to rejoice gifts and thank gods.
She hoped it to remain the same for good
to never cease its abundance brimming the terrestrial.

From when did she start
to preach justice to people?
She couldn't be callous to
forsake them going astray.

Rusted away — would winter and strife disappear,
if only you were satisfied with this?
Summer and autumn spring forth, and they began to cross the seas.
She resolved to be the balance right until the engulf.

"I'm still with you."

iamque nocens ferrum ferroque nocentius aurum
prodierat, prodit bellum, quod pugnat utroque,
sanguineaque manu crepitantia concutit arma.
(And now came forth the baneful iron, and gold more baneful still;
 with both of which began the strife of war,
 shaking the clashing arms with bloody hands.)

Even the balance had fled beyond.

"And the flood did take them away."

メモ

  • ラテン語部分は こちらのサイト から引用しました。
    • この時代の文書には大文字小文字がなかったらしいので、歌詞に記載されている全部小文字表記はミスではありません。
  • ジャズらしきジャズを作ったことがなかったのでコードの取り回しとかメロディの取り方を間違えている箇所がある気がします。許してください。
  • テトさんにラテン語を歌ってもらっている箇所は基本的にスペイン語の発音を採用しています。なぜなら巻き舌発音があるから。あと que の発音も持ってたから。
  • 一部英語発音も使っています。なぜならスペイン語をよく知らないので発音のさせ方がわからない部分があったから。
  • ラテン語の発音について記述されているサイトをもとに作成しましたが、発音やアクセント位置に間違いがあるかもしれません。
  • ジャズにラテン語族のボーカルが入るとめちゃくちゃそれっぽくなる印象があるんですけど、何の影響かわかりません。
  • 実際演奏しようとしたらコードがコロコロ変わるのでめちゃくちゃ難しそうなんですが、ジャズを弾く人なら弾けるのかもしれない。
  • もっとふざけた曲作りたいんですけど、どうしたらいいですか?

お歌のモチーフ

古代ギリシャ神話、特にオウィディウスの変身物語と呼ばれる著作に基づいています。

堕落した人間を地上から一掃するために大洪水が起こされる記述と、その堕落の過程の記述に存在しているアストライアを勝手に結び付けています。 この中で、アストライアが洪水を予見してたような書き方をしていますが、元ネタを読む限り誰も予見はしていないです。ゼウスすら直前に洪水に切り替えたくらいの行き当たりばったりなので多分誰も予見してない。

つまり二次創作なのでファンの方には怒られるかもしれない。

ちなみに人間が堕落していく変遷は 4 つの時代の変遷として語られており、ざっくりと以下のような流れです:

  1. 黄金時代(Aurea aetas)
  • サトゥルヌス(クロノス)の統治下
  • 法も罰も不要で、人々は自発的に正義と信義を守った
  • 戦争も旅も貿易もなく、人々は自分の土地で満足していた
  • 春が永遠に続き、大地は耕さずとも実りをもたらした
  1. 銀時代(Argentea aetas)
  • ユピテル(ゼウス)がサトゥルヌスを追放し統治を始める
  • 永遠の春が終わり、四季が生まれた(夏・秋・冬・春)
  • 初めて家が必要になった(洞窟や木の枝の住居)
  • 穀物を播き、牛を鋤につないで耕す労働が始まった
  1. 青銅時代(Aenea aetas)
  • 人々はより荒々しく、容易に武器を取る性質となった
  • しかしまだ完全に邪悪ではなかった
  1. 鉄時代(Ferrea aetas)
  • 節度、真実、信義が逃げ去り、代わりに詐欺、暴力、裏切り、強欲が支配した
  • 大地に境界線が引かれ、共有だった土地が測量され、私有財産が生まれた
  • 地下深くから金属(金、鉄)を掘り出した——金は鉄と同じく有害なものとなった
  • それまで知られていなかった海の上を船が進むようになった
  • 人々は自分の土地だけでは満足せず、他者の富を求めるようになった
  • 戦争の武器が作られた
  • アストライアが血に染まった大地を去った
  1. その後
  • 巨人族の反乱
  • リュカオンの不敬(人肉供犠)
  • 大洪水による人類の滅亡
  • デウカリオンとピュラの生存
  • 石から新しい人類が生まれる

銀時代は果たして人間のせいなのかというと違う気がしますけど。 歌詞では四季と船の旅と諍いくらいしか話に出ていません。 ラテン語の歌詞部分で鉄時代の事をそのまま歌ってしまっています(サボり)。

あと、鉄の時代って正直今と変わらないですよね。そういう警告を言いたいのかな。

ちなみに、原作はギリシャ神話なのにラテン語で書かれているのですが、時代背景的にラテン語で記述をするのが一般的な時代だったためらしいです。 ローマが軍事的にギリシャを征服したが、ギリシャ神話などが土着の神と結びつきそれらの著作をローマの言葉で記述したらしい。軍事的には征服されたが、逆に文化的にはギリシャが征服したともいわれているそうです (“Graecia capta ferum victorem cepit et artes intulit agresti Latio. ”) 。

星座のメモ

星座は境界線は定められているのですが、どの星をどう結ぶかについては特に基準が定められていないようです。 調べる書籍やサイトによって星のつなぎ方がまちまちなのはこれが要因のようですね。

また境界線の中の星についてどれを利用するかも取り決めがないようで、等級の低い星は全く使っていない時もあります。そのため、星座の後ろに絵を置いておかないと一発では理解してもらえないかも。

乙女座 (Virgo, ♍) はアストライアであるとも、正義の女神ディケー (Díkē) であるともデーメーテール (Dēmētēr) であるとも言われています。それ以外にもいっぱい説があるらしいですが、神話はいっぱいあるのでその数だけ説があるのかも。ちなみに女神ディケーはアストライアと同一であるという解釈があります。出てくる神話の内容がほぼ一緒。

てんびん座 (Libra, ♎) はアストライアの持っていた天秤であるという解釈が割と一般的なようです。この天秤座は乙女座の足元に位置しており、この位置関係からも乙女座との関連性が言われていたのかもしれません。

乙女座とてんびん座はいわゆる 12 星座においても隣り合っています。